今週末から、中央競馬はいよいよ下半期へと突入します。早いもので、今年ももう半分が過ぎてしまったのですね。宝塚記念が終わり、じっとりとした梅雨の空気が競馬場を包むこの季節になると、私はいつも前半戦のデータを眺めながら、ひとりで静かにあれこれと妄想を膨らませるのが常となっています。
今回は、現時点でのリーディングジョッキー争いを振り返りつつ、いち競馬ファンとしての徒然なる思いを少し書き残しておこうと思います。
異次元の首位、そして訪れる「静寂」
現在のトップを走るのは、やはりクリストフ・ルメール騎手。ここまで91勝を挙げての首位快走です。 昨年は140勝で3年連続・8度目のリーディングに輝きましたが、今年はフェブラリーS、高松宮記念、ヴィクトリアMを制すなど、大舞台での勝負強さは相変わらず言葉を失うほど。2位に16勝もの差を付け、年間200勝に近い驚異的なペースで勝ち星を積み重ねてきました。
しかし、ここへ来て驚きのニュースがデイリーニュースから飛び込んできました。ルメール騎手が、これから約2カ月間のリフレッシュ休養に入るとのこと。 この絶対王者が戦線を離れるという事実は、一人のファンとして純粋に寂しさもありますが、同時に「さあ、ここから夏競馬が途方もなく面白くなるぞ」という、少し不謹慎なワクワク感を禁じ得ません。16勝のリードがどこまで縮まるのか、あるいはひっくり返るのか。これからの2カ月間は、まさに下半期の運命を握る大きな分岐点になりそうです。
猛追の若武者と、私がパドックで目を奪われる男たち
ルメール騎手が不在の間、主役に躍り出る筆頭候補は、間違いなく2位の岩田望来騎手(75勝)でしょう。 昨年は95勝でリーディング8位でしたが、今年はそこから大きく躍進しています。2023年にマークした自己最多の113勝というキャリアハイ更新は、もはや通過点に過ぎないかもしれません。父譲りのインを突く勝負強さに加え、最近はレース全体の流れを支配するような、どこか凄みのあるスマートさも感じられます。
そして、私が個人的に今年「騎乗を見ていて胸が熱くなる」のが、西村淳也騎手と荻野極騎手の2人です。
西村騎手は昨年、ケガによる長期離脱があって49勝にとどまり、悔しい思いをしたはず。それが今年は前半戦だけで早くも51勝。自身初の100勝到達を現実的な目標として捉えているその姿には、不屈の執念のようなものを感じます。
一方の荻野極騎手は、早くも40勝。23年17勝、24年33勝、25年62勝と、数字を眺めるだけでもその階段の登り方に惚れ惚れします。ただのステップアップではなく、今年は馬群を割る時の思い切りの良さが一段と研ぎ澄まされている印象です。彼らがパドックで馬に跨る時、その背中には数字以上の「充実期」が漂っているように見えてなりません。
【現在のリーディング順位を眺めて】
ふと現在のTOP10を見渡すと、4位の川田将雅騎手(56勝・2着46回)と5位の横山武史騎手(56勝・2着44回)が、わずか2着2回の差でひしめき合っています。また、9位の荻野極騎手(40勝・2着42回)と10位のレジェンド武豊騎手(40勝・2着31回)が並んでいるあたりも、世代を超えた意地のぶつかり合いが見えて非常に感慨深いものがあります。
昨年(最終結果)の2位だった戸崎圭太騎手や、5位だった坂井瑠星騎手がここからどう巻き返してくるのかも、不気味であり、楽しみでもあります。
旅情と、夏競馬の匂い
ルメール騎手が休養に入るこれからの季節。JRAの主戦場は中央の主要4場から、函館、札幌、新潟、小倉といったローカル開催へと移り変わります。
絶対的な存在がいない夏の競馬場は、どこか群雄割拠の匂いがします。裏開催で牙を研ぐ若手、ローカルの重賞で一発を狙うベテラン、そして虎視眈々とリーディングの座を狙う中堅たち。彼らの「勝ちたい」という執念が、直線だけの短いローカルコースで火花を散らす。
下半期の開幕。私は、そんなジョッキーたちの思惑やバイオリズムを新聞の行間から読み解きながら、冷えたビールを片手に、また新しい週末を迎えようと思います。皆さんは今年の夏、誰の背中に夢を託しますか?

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